ページの先頭です。
本文をスキップしてメニューを読む
みやこのエコツーリズム

京のエコツアー紹介

エコツアーってなんだろう。大自然を巡るだけが、エコツアーではない。 

「京都」という、四季折々の自然が、歴史文化に深く影響し合って、発展した町でも、エコツアーはできる。

京都の地に降り立ってみよう。そしてじっくり見てみよう、感じてみよう、体験しよう、味わってみよう。そこには、長い時を経て、多くの住人が作り上げてきた、心が溢れているはずだ。自然を愛で、季節の移ろいを大切にしながら、生活文化を洗練させてきた、美しさと、輝きもあるはずだ。

そこを観光し、想いを寄せるのが、京都のエコツアーだと考えている。

安さを追い求めて、品質を重視しない。その場限り、効率性を重視して、提供されている。上っ面だけ急ぎ足で回っている。そんな観光は、長い歴史を通じて「伝統文化」を高度に研ぎ澄ましてきた「京都」にあまりにも寂しい。

エコツアーをこのように広く捉えていきたい。

インタープリターとは

エコツアーの良し悪しを決めるのは、インタープリターです。単なるガイドではなく、旅の素晴らしさ、学びを引き出すさまざまな能力が要求されます。

1、インタープリターとは

欧米の自然公園や博物館などでは「インタープリター」という役割の人々が活躍している。直訳すると「通訳」という意味であるが言語の通訳でなく、地域の自然や文化遺産、人々の生活、展示物などの奥底にある意味を伝えるという役割である。

  1. 知識・情報
  2. コミュニケーション力
  3. ホスピタリティ
  4. キャラクター
  5. ファシリテート力
  6. コーディネート力

等、多岐にわたる能力を上手に組み合わせて、楽しく、分かりやすく、奥深く、雰囲気を演出し、ビジターに伝える人の事をインタープリター(案内人、ガイド)と呼んでいる。

解説する対象とビジターをつなぐ橋渡し、つなぎ役がインタープリターである。

もともと、自然ガイドを行う際の手法・技術として体系的に発達しているが、ビジターに対するあらゆる観光資源を効果的に伝える手法として非常に有効である。

2、インタープリターの技術手法とは

  1. じっくりと時間をかけながら、さまざまな体験・体感させることにより、五感が研ぎ澄まされ、単に見るだけでは気付かない、知ることが出来ない奥深い喜びや感動を引き出す。
  2. ゲームやクイズ、インタプリタ-の話術や演出、全体の構成、工夫ある仕掛けなどを通じて、参加者の知的好奇心を刺激しながら、楽しい体験を提供する。専門的知識のみならず、参加者を楽しませるエンターテイナーである。
  3. インタープリターと参加者、参加者同士、その対象となる人(観光資源)とビジター等のコミュニケーションが円滑に行われる事を重視し、その充実したコミュニケーションから、ビジターの深い感動を引き出す。
  4. ビジターの既成概念を越え、予想を越える事によって心を動かせるような、一方的に「教える」ではなく、「感じる」を引き出す。

3、従来の観光形態との違い

従来型観光ツアー 名勝や文化遺産と言った「見所」を極めて短時間で回ることにより、効率的に回る事に満足度が置かれている。マニュアル通りの簡単な解説が行われる程度であり、バスガイド等は工程管理が主な業務となる。
観光リクリエーション旅行 スキーや登山など、体験そのものが目的で、技術の習得や達成感に満足度が置かれている。
インタープリターが存在する旅 「見所」をうわべだけ見て回らない。体験や技術の習得だけでもない。インタープリターの役割により、その対象の背後にある意味や相互の関係、本質を解き明かすことによって、ビジターに興味を起こさせ、深い感動や驚きを与える事に満足度が置かれている。全く新しい、体験型観光である。

4、プロのインタープリターと市民インタープリター

仕事としてプロのインタープリターは、インタープリテ-ションプログラムとして、ツアー形態の中で、参加者に京都の「ほんもの」を効果的に伝え、楽しませ、高い満足度を参加者に与える。

と同時に、諸外国では、市民ボランティアが「インタープリター」となって解説活動を行ったり、休息に立ち寄る店にビジターも住民も集い、気軽に声を掛け合い、情報交換が行われる様なビジターと市民生活との豊かな接点が多く見られる。こういった市民1人1人がインタープリターとなり、ビジターとの暖かい、気軽な触れ合いを京都においてもっと広げ、豊かな接点を広げる必要がある。残念な事に京都はまだ、豊かな接点を見出す事が出来ないからだ。

京都で言えば、社寺や観光施設だけではなく、「市民=ひと」が観光の全面に出てくることで、今まで奥に隠れていた「光、宝」を発掘することが出来るのがインタープリターの役割である。

従って、インタープリターはプロだけではなく、あらゆる市民が関わっていける役割である。

エコツアーを作る時のポイント(京都市内を例に)

記述:十倉

1、資源調査(宝探し) 

どんな宝がそこにあるのか、見つけてみる作業が最初に大切。

環境を上記の6分野に分け、その分野それぞれを広い視点で捉え宝を見つけてみる。

見つける時のポイント

  1. 「環境に優しい、環境に配慮」ってどういうことだろう、という鋭い意識。みんなで知恵を出し合う。
  2. 五感を研ぎ澄まし、感動を感じ取る、学び取る。
  3. 他の人にも、これは感動してもらえるという客観的な(参加者の)気持ちを大切に。
  4. その宝と深い関係にある「人」に注目する、仲良くなる。「宝」の輝きが断然増す。

これらを詳細に記録する作業(環境マップの作成などを同時並行で進める)。

取材箇所と取材視点の例

  1. 御所:豊かな生態系を持つ自然と自然に融合した歴史的建造物 
  2. 町家:京都の自然環境を生かし、取り入れ、大切に快適に粋に過ごす京都の先人の知恵
  3. 伝統産業:京都の自然環境に深く影響を受けながら、自然をデザインに取り入れ発達した伝統工芸。
  4. 菓子店:幅広いコンセプトの菓子店がある。無添加・自然素材・環境に優しい製造方法・伝統
  5. 京都市内中心部:狭い範囲でも、歴史と伝統、それに融合した新しい素材の宝庫。

2、ツアーコース設定のイメージ

①参加者の対象は?

参考資料:以下のウェブの中の項目をクリックすると京都市観光調査年報 として詳しくデータが載っています。

個人、団体。修学旅行生、子ども、女性、男性、家族、外国人(アジア、欧米人)。年齢層(若年、熟年)、予算別(高、中、低)。などのセグメント別に参加者のターゲットを絞っていく。

京都の主流は女性(熟年のみならず若年層が伸びている。)。京都へは10回以上のリピーターが7割を占めている。個人客が9割以上。顧客層のニーズを把握することが大切。

②広く捉えた自然、環境をテーマに

観光客は、自然、風景、歴史、伝統文化への高い評価と関心。本物志向の傾向が最近顕著である。エコツーリズムへの追い風になっている。季節感を大切にしたコース設定を考える。

③高い満足度を狙う

今まで味わったことのないオリジナル性、非日常感のある宝。京都らしい宝を掘り起こす設定が高い満足度につながる。

④ゆっくり、じっくり

急がない、ゆったり滞在できる時間配分を考える。急げば、その時点で、エコツアーではなくなる。

⑤エンターテイメント性を持たせる

今まで、エンターテイメント性、おもてなしを重視したエコツアーの実践が希薄な印象を日本で受ける。例えば、ディズニーリゾートの、ストーリー性、メッセージ性、雰囲気の徹底。あのゲストへの細部に気を配ったホスト側からのもてなし、趣向。楽しさ。期待を超えるホスピタリティの提供。時間を忘れるほどの意識や関心の集中から感動が生まれる。インタープリテーションの技術の習得から生まれるエンターテイメントもある。こんな、ディズニーリゾートのコンセプトを積極的にエコツアーに取り入れるべき。

⑥「宝」と関係する「人」の意欲を高める工夫

誠実な対応。充分なコミュニケーション。

起こりうる悪影響の排除。エコツーリズム推進の仲間になってもらう(それはイコールエコツーリズムの拠点となる)。

その「人」と観光客を深くつなげる工夫もエコツアーの設定の中で大切。

⑦消費してもらう 

グリーンコンシューマーとして、予算の中で喜んでお金を出してもらう工夫をかんがえる。お金が循環して初めて、フィールドの保全のための資金が生まれ、エコツアーの継続的な実施が可能になることを忘れてはいけない。

例:環境に優しいホテル、旅館の積極的な利用

⑧移動手段を考える

徒歩(一番良く、エコツアーの基本移動手段である)、自転車(風を感じることができる、二酸化炭素の排出がゼロである)、バス、地下鉄。それぞれ一長一短があり、上手く組み合わせる。環境への悪影響を最小限にする工夫を行う。

⑨安全、衛星面への考慮

歩行上の危険、自転車走行時の危険、駐輪場の確保、バス地下鉄の運行時刻、食事、休憩場所の確認は充分に行っておく。そのための十分な下見、調査、情報収集は不可欠である。

3、資源保護・管理の視点も忘れない

  1. ホストもゲストも、資源保護管理にそれぞれのレベルで貢献できる方策を「宝」と関係する「人」と一緒に考え実践。
  2. 観光客が定期的にやってくる場合の影響を考える。悪影響を出来るだけ抑える工夫。
  3. 観光客が増加した場合の、規制策を考える。ゾーニング(入る所、入らない所)
  4. インタープリテーション技術の習得によって、保護管理の視点を組み込む。

4、マーケティング 

集客方法

①ちらしづくり インパクトのある、参加してみたいと感じさせるコピー、デザインの重要さ。
②ウェブの活用 ユーザーへの直接アピール
③旅行代理店に売ってもらう 手数料を旅行代理店に支払わなければならない、その手数料も10%から30%程度と旅行代理店側の作業、コスト、ツアー実施団体との力関係に合わせて流動的である。オプショナルツアーとしてパッケージに組み込んでもらうのが一般的な手法である。
④旅館ホテルと連携 やはり同じく手数料を支払わなければならない。この率も流動的である。宿泊と組み合わせたパック商品として売り出したり、紹介だけに留まるケースもある。
⑤マスコミの活用 雑誌、テレビ、新聞に取り上げてもらう工夫は常に怠ってはだめである。このあたりは、このウェブ上の調査/レポートの項目の2002年度の調査・レポート「京都都市型エコツアープロモーション手法実証報告書」」
⑥価格 適正な価格とは? 一人のインタープリターが一日で、休日平日平均して4、5万円の収益が必要と言われる。ツアーの開発経費、ガイド養成費用、広報費用、事務所維持費もここから控除。一人のインタープリターに20名程度の参加者が限界であることも考慮。とすると参加者一人当たり、一日フルプログラムで、1万円から、1万数千円の参加料が必要ということになる。

5、細部の作りこみ、企画書作成

テーマ、ねらい。プログラム内容、所要時間、シナリオ(タイムテーブル。実施内容やストーリー、演出などの具体的記述)。対象者。開催日時。価格(収支計画)。告知方法。予約システム。運営組織。資源保護管理のあり方。事前準備計画。の内容をできるだけ詳しく書き込んだ企画書を仕上げる作業が不可欠です。

6、ツアー実施後の評価と振り返り

 今後より良いツアーに向上するための作業として、反省と振り返りを、客観的に行うことは、今後より良いものにしていくために必要。参加者から、感想、アンケートを取り、振り返りと評価に生かすことも必要。