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みやこのエコツーリズム

湯の川プリンスホテル渚亭

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北海道函館すぐ近く、歴史ある「湯の川温泉」にある大型温泉旅館である。インターネット予約サイトの「じゃらん」で、全国5エリア別 ベスト10で、北海道地区の常連に入っている宿です。古くから続く温泉町での大規模旅館の見本となるような旅館だった。

1、到着時

当然のことながら、多数の仲居さんの暖かいお出迎えを受ける。フロントでチェックイン手続きをする間の家族はいつも手持ち無沙汰である。なんと、ワイン、りんごジュース、ウーロン茶、ココア、レモンティ、好きな飲み物を無料で注文でき、テーブルでくつろいでしまった。こんなサービスは稀有である。着いてすぐ、感嘆してしまった。

2、エレベーター

エレベーターで客室に案内されるべく乗り込むと、クッションある椅子が一つ片隅に置いてあった。これは年配の方に非常に有難い。到着するまでに疲れているわけで、ちょっと座れるそのサービスはとても嬉しいとおもうのだ。これも、わずかの施設しか導入していない。

3、客室内

①手すり

入ってすぐ、上がりかまちの横に木の手すりがついていた。足の弱い人にとって、少しの段差もしんどい中でこの気配りにまた感激。お手洗い、お風呂にも手すりが付いていた。

②トイレの表示

トイレの取っ手には、「トイレの照明は自動で点灯・消灯いたします」と表示。どうしても、悪気はなくても電気をつけっぱなしにしてしまうことを防げる優れた文明の利器である。

③冷蔵庫空っぽ

客室内冷蔵庫には、「冷蔵庫は自由にお使いいただくために空にしておりますが、お飲み物のご用命がございましたら客室係までお申し付け願えれば、お部屋までお持ちいたします。」と飲み物メニューがテーブルに置いてある事、自動販売機があること、売店が24時間あいていることも表示。冷蔵庫にいつ飲むか分からないような、いつから入っているか分からないような飲み物がぎっしりつまった、冷蔵庫は、どれだけの電気代を無駄にしているかご存知だろうか。

④お部屋係は極力伺わない表示

客室係、部屋を案内すると、すぐ帰っていった。普通、長々と挨拶し、お茶をいれ、お菓子を出してくるのだが、お菓子はすでにテーブルの上にあり、お茶は自分で入れた。それでいいのだ。長々と居座ってくれるよりも、かえって気楽だと言う感覚もある。そのための客室内にたくさんの表示があり、説明されなくても分かるようになっているのだ。客室係は、次のお客さんを案内すれば、人件費は低く抑えられる。そのそぎ落とした人件費で宿泊料金を低く抑えているのだから、結構なことだと思う。それは無駄のないおもてなしだ。

⑤浴衣2枚

衣装ダンスの下の引き出し三段に、なんと、それぞれL,M,S,の表示と共に、三種類の浴衣が男女2枚ずつ、すでに揃っている。これだと、いちいち、仲居さんが取りに行っている手間が完全になくなる。すごい工夫と感嘆してしまった。こんなサービス初めてである。

⑥アンケート用紙のでかさ

テーブルの上のテレビ表の裏面にアンケート用紙、それも、A3用紙に大きな大きな字でアンケート記入用紙があった。紙の裏面を使う無駄のなさ、しかも、字を大きくという年配の方の隠れた強い要望も完璧に生かされている。こんな大きな、思わず記入してしまう気持ちになるようなアンケート用紙は初めてだ。お客様の声を真摯に聞く、サービスに反映させるこれは、エコツーリズムを具現化する際の根底の姿勢だ。

⑦渚亭こだわり読本

テーブルの上に、読本の冊子10ページが置いてあった。味噌汁には添加物を入れていない。冷暖房を最適にするために、毎日、外気温と室温と冷暖房の設定温度、風力の記録を付け、昼夜コントロールを行っている。生ゴミをNPO法人と協力して肥料にしている。割り箸のリサイクルをしている。源泉100%のお湯をかけ流しで使っている。謙虚な心で探求している。などと、イラストつきで記載されていた。こんな冊子が置いてあった施設は初めてで、本当に感動した。どんな素晴らしいサービスをしていても、それがお客様に伝たわらないと、それはサービスではない。気持ちよく伝える努力を施設は常に努力するべきで、そこのおもてなしの心も見えてくる。

4、大浴場

①スリッパの殺菌庫

スリッパはいつも衛生面が気になる。誰が履いたかわからないスリッパを履くのは気になる人は多いはずだ。大きな紫外線の殺菌靴入れがあって、「お客様のスリッパを毎日拭いておりますが、殺菌庫も設置しました。スリッパの位置を確認の上、お間違えのないように、、、」と細かい部分まで表示があった。ここまで細かく表示がある、殺菌庫を初めて見て感激した。とにかく、お客様に「おもてなし」を伝えるという心意気が、大変伝わってくる。小規模で、人件費も十分まかなえるくらいの価格帯の旅館なら、このような表示がなくても、仲居さんがこれと同じことを、語ることで、それ以上に伝えることが出来る。しかし、価格帯を押さえてサービスを提供しようとするだいきぼ旅館の場合、工夫された表示に頼るしか手段がないと思う。

②子供向けお風呂道具の充実

子供向けの小さな洗面器、子どもの転倒防止の補助椅子や、マット、洗髪ハット(帽子)、年配の方向けの背もたれ付き補助椅子などが、自由に使用出来るようになっていた。小さな子供連れのお風呂は本当に危険だ。滑るし、大きな洗面器が重くてひっくり返すし。年配の体の不自由な方には、背もたれのない、座高がない風呂用椅子は厳しい。こんなに道具が設置してある所、大型銭湯含めて初めてで驚いた。

③湯温

いつも銭湯や大浴場で困るのが、湯温である。人によって、気持ちの良い温度は違う。ここは、なんとぬるめ(39度から40度)、熱め(43度)、中温(41度から42度)の3段階の表示と共に湯船があった。これも初めてだった。浴槽がたくさんある銭湯や大浴場は最近急速に増えてきたが、なぜこの対応が他は出来ていないのか、それが不思議なくらいに必要なサービスであると思う。熱くて、入れなかった、ぬるくて、風邪引きそうだった経験は、多くの人であるはずだ。

5、食事

バイキング会場に入っても、驚きと感動は続いた。

①浴衣の袖止めようバンド

浴衣の袖止めようバンドが入り口に置いてあり、細かい表示と共に自由に使えるようになっていた。浴衣の着慣れぬほとんどの日本人は、袖を汚してしまいやすい。なるほどこれがあれば、汚れない、これも初めて見た。

②お子様用トレー

お子様用トレー、スプーンフォークがしっかりあった。最近設置が増えてきているが、これは、やはり、温泉地、リゾートの施設として喜ばれるサービスだ。

③食事中プレート

「お食事を終えられて帰られる際は、必ずこのプレートを裏返してください。」の表示と共に、カードがテーブルに置いてある。バイキング形式だと、いつ帰ったか、まだ食事中なのかわからない。これがあると、わかるのだ。従業員の人数は最小限に抑え、効率よく、サーブするための大きな工夫と理解した。これも初めて見た。

④メニューの充実

とにかく、味付けが、添加物や味の素などを使っていないと表示されるだけあって、薄味、自然の味でとてもおいしい。「じゃらん」などの口コミサイトでも食事は絶賛されている。この味でいいのだ。お客様の指示を高く得ているのだ。どうして、見栄えのために、添加物を入れ込んで提供しなければならないのか、味も人工的に濃くしなければならないのか。そのような施設が未だ多く見られるのは残念だ。また、料理の一つ一つに細かい表示が付いていて、これは、どこ産の野菜、魚、肉などを使っていますというのと共に、その料理のセールスポイントまで書いてあるのだ。今流行りの五穀米や、磁気水での水の提供。この水が確かに味の違いがはっきり分かるほどおいしい。出来るだけ、地場の食材を大切にして、可能な限り全て使うようにしているという心意気が、びんびん伝わってくる。エコツーリズムの具現化には、この心意気が不可欠なのだ。「値段が張るから出来ない、十分な数集められないから出来ない。仕入れが不安定になるから出来ない。」こんな言葉は、業界の方から嫌ほど聞いてきた。出来ないことばかり、言っていても何も始まらない。出来ることから、誠実に精一杯取り組んでいくことが大切で、それを、お客様に感じてもらうのがおもてなしの原点であろうと思う。

6、華美ではない

客室内、ロビー、大浴場見渡しても、ゴージャスな飾りや装飾品、調度品はない。実質的なのだ。でもそれで、客室内の広い露天風呂が付いて、休日前も一人2食付で1万円代で宿泊できるところは、全国探してもほとんどないはずだ。だから徹底的に、無駄なおもてなしを削減する努力をされている。それが結果的に、環境にもやさしい施設へつながっている。そしてお客様の声を真摯に生かすことで、必要なおもてなしをきめ細かく取り入れることにより、結果的に高い満足度をお客様に与えている。これこそが、エコツーリズムの理想の具現化ではないかと思う。

他の施設はこんなことしていないから、うちだけが、こんなことしたらかっこ悪い。お客様が変に思うから。などと、及び腰の話もよく聞かされた。サービスはオリジナリティであり、隣がするから自分がするではない。自らのサービス戦略を明確に位置づけ、その中で、常に工夫をしながら、高いおもてなしをオリジナリティを持って、提供していくべきだと思っている。

住所:〒042-0932北海道函館市湯川町1-2-25

TEL::0138-57-3911

湯の川プリンスホテル渚亭